退職したいのに会社が辞めさせてくれない、上司の引き止めがきつい…。なかなか辞められない方を助ける、「退職代行」サービスが今、注目されています。
そんな退職代行ですが、「失敗しないの?」と不安な方も多いようですね。
- 退職代行に頼んで、退職できなかったらどうしよう?
- 辞めるまでの間に、会社でパワハラやいじめを受けない?
- 懲戒解雇されたり、損害賠償を請求されたりしない?
こんな不安をお持ちの方のために、今回は、失敗しない退職代行のコツや、失敗を防ぐ方法について解説していきます。
退職代行でこんな失敗はない?予想される失敗の危険性
それでは、退職代行の失敗について検証していきましょう。退職代行の利用には、どんな失敗の危険性が考えられるでしょうか?
口コミや知恵袋などの話題をチェックしてみると、次のような不安を持っている人が多いようですね。
- 退職代行に依頼したのに、退職できない
- 退職日までの間に、会社でパワハラやいじめを受けてしまう
- 離職証明書など、退職に必要な書類を会社に出してもらえない
- 退職代行を使ったら、会社から懲戒解雇されてしまう
- 損害賠償請求をされたり、会社から裁判に訴えられてしまう
- 「退職代行は違法だから無効」と言われてしまう
- 「退職代行なんてクズ」など、ひどいことを言われてしまう
こうした失敗の恐れは本当にあるのでしょうか。
それとも、まったく心配しなくて良いのでしょうか。
順番に検証していきましょう!
せっかく退職代行に依頼したのに、退職できない?
まず心配なのが、「退職できない」失敗ですよね。
せっかく費用を掛けて退職代行を依頼したのに、結局辞められなかった…なんて失敗は、絶対に避けたいものです。
しかし現実には、退職代行を使って退職に失敗する心配は、まずありません。
というのも、退職は労働者の権利であり、会社には引き止める権利はありません。
もしも強引に引き留めようとすれば、「不当な在職要求」となる可能性があります。
これは、日本国憲法で「職業選択の自由」が定められていることが理由です。
「職業選択の自由」には、「退職する(仕事を辞める)自由」も含まれています。
とはいえ実際には、「職業選択の自由があるから辞めます!」と自分で言い出すのは現実的ではない、難しい…という事情もありますよね。
そこで退職代行が間に入り、あなたの「退職の意志」を代わりに伝えてくれるわけです。
このように、憲法に認められた強力な「退職の権利=職業選択の自由」があるため、退職できない心配はありません。
退職日までの間に、パワハラやいじめを受けてしまう?
退職代行を使って正式な退職が決まったとしても、退職日までの間に職場でパワハラを受けたり、いじめられてしまったり…そんな心配もありますよね。
とはいえ、これも心配ありません。
実際には次のような対処方法もあるからです。
即日退職可能な退職代行を利用しましょう。もう二度と会社に行かず、職場の人と顔を合わせたり、会話したりすることも一度もなく、正式に退職できます。
有給が残っていれば、退職日までの間を有給消化で埋めてしまう方法もあります。有給取得サポートのついた退職代行を選ぶと良いでしょう。
また現実には、退職のプロである退職代行サービスが間に入ると、会社側がとたんに態度を改めることが多いようです。
やはりプロの介入はインパクトがあるのでしょう。
今まで強引に「退職は認めない!」と突っぱねていた会社でも急に協力的になり、円満退職が成立することがほとんどです。
離職証明書を出してもらえないなど、会社が非協力的になる?
離職証明書など、退職に必要な書類を会社が発行してくれなかったら…。そんな心配もありますよね。
ですが、これも基本的には大丈夫です。
離職証明書など必要書類を発行しなければ、会社が損をしてしまうからです。
正式な退職の手続きを取らなければ、会社=雇用主は、社会保険料などの会社負担を背負い続けることになります。
また、会社側が労働基準法違反に問われる可能性もあるでしょう。
こうした事情があるため、退職代行が間に入って話が進みはじめれば、会社も協力的にならざるを得ないのが現実です。
それでも心配な場合は、弁護士がついている退職代行や、労働組合による退職代行を検討してみましょう。
こうした退職代行サービスなら、会社側としっかり交渉できるため、万が一の場合も安心です。
退職代行を使ったら、懲戒解雇になる?
退職代行を使って「退職します」と伝えてもらったら、逆に会社側を怒らせてしまい、懲戒解雇になるのでは…。
そんな心配もありますよね。
ところが、これも現実には心配ありません。
実は、懲戒解雇などの厳しい解雇処分は、会社が好き勝手に判断して良いものではありません。
労働契約法など法律の基準を守り、就業規則や雇用契約書に明確なルールを記載し、それに従って運用されなければいけません。
<労働契約法 第15条 第16条>
(懲戒)
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
引用:労働契約法 e-Gov法令検索
法律を見ると、「懲戒」も「解雇」も、客観的な合理性と、社会通念上相当であると認められない場合…つまり、「常識的に考えて、懲戒や解雇になるのも仕方ないよね」という事情がなければいけません。
具体的には、懲戒解雇が認められるケースとして、次の6つがあります。
- 業務上の地位を利用して、違法行為を行った場合
- 会社の名誉を著しく害するような、重大な違法行為を行った場合
- 重大な経歴詐称
- 長期の無断欠勤
- 重大なセクハラ、パワハラなどのハラスメント事案
- なにか問題を起こして懲戒処分を受けたにも関わらず、改善が一向に見られない
そして、「退職代行を使って辞める」ことは、どれにも当てはまりません。
つまり、退職代行を使って退職の意志を伝えたからといって、会社側は、どこをどうひねっても懲戒解雇処分は下せないのです。
損害賠償請求など、会社から裁判に訴えられない?
- 「勝手に辞めたら、損害賠償を請求するぞ!」
- 「いま辞められると業務に支障が出るので、損害賠償を請求します。」
こんな風に会社から言われて、辞めたくても辞められない…というケースもあるかと思います。
では、それでも退職代行を使って辞めた場合、どうなるのでしょうか?
まさか本当に損害賠償…なんてことになったら、大変ですよね。
ですが実際には、こちらも心配ありません。
現実に、会社が損害賠償を請求すること、まずありません。
また、仮に会社が本気で損害賠償請求訴訟を起こしても、認められる可能性はほぼ無いでしょう。
というのも、退職に関する損害賠償は、民法第628条にて、次のように定められています。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
引用:民法 | e-Gov法令検索
かんたんに言うと、「辞めることになった原因が、一方的な過失によるものでなければ、損害賠償の責任は発生しない」と解釈できそうですね。
実際の法解釈や法律の実務は、専門家に判断してもらうのが一番です。
ここで抑えておきたいのは、会社が勝手に「辞められたら困るから損害賠償だ!」と言ったところで、そう簡単に請求できるものではない、ということです。
現実的には、損害賠償を請求するための訴訟費用を考えると、そこまでの負担は負いたくないと考える会社がほとんどです。
そもそも会社としては損害賠償など考えておらず、辞められると困る上司が、脅しで言っているだけに過ぎないケースが大半です。
それでも不安がある場合は、弁護士や労働組合による退職代行を選んで、相談してみると良いでしょう。
「退職代行は違法だから無効」と言われない?
ところで、「退職代行は違法ではないの?」という疑問もありますよね。
もしも違法な退職代行に頼ってしまったら、「その退職は違法なので無効です!」…と、そんなことになる恐れもありそうです。
こうした失敗を避けるには、どうすれば良いでしょうか?
実は、退職代行そのものは違法ではありません。
ただしポイントは、「退職代行の業務の"一部”に、弁護士でなければ実施できないサービスがある」ことです。
この「弁護士でなければ実施できないサービス」を、弁護士ではない業者がやってしまうと、非弁行為という不法行為になります。
違法性が問われるのは、こうしたケースに限られます。
逆に言えば、
- 弁護士でなければ実施できないサービスはやっていない退職代行
- 弁護士がついている退職代行
どちらかであれば、退職代行を使っても、「違法だから無効」とはなりません。
「弁護士でなければ実施できないサービス」とは、かんたんに言うと、会社との交渉ごとです。
たとえば未払いの給与や残業代があり、会社は出し渋っているけれど払って欲しい…といったケースなどが当たります。
こうした交渉が必要でないなら、弁護士がいない退職代行でも、合法に円満退職を成功させることが可能です。
「退職代行なんてクズ」など、ひどいことを言われてしまう?
この心配については、「そんな性格の悪い人たちのことは気にしないで、自分の人生を楽しみましょう!」というのが、個人的な答えです。
退職代行を使う人を「クズ」だと思うかどうかは、人それぞれ価値観によるでしょう。
ですが、あくまで個人的な感想としては、「そんな風に人を誹謗中傷する職場だから、辞められると困るような優秀な人材に逃げられてしまうのでは?」としか言いようがありません。
とはいえ実際に、こうした場面に直面してしまったら、傷つくのも事実です。ですが、だからこそ退職代行の出番とも言えます。
退職代行を使えば、二度と会社に行かず、職場の誰にも合わず、一言もしゃべらずに完全退職も可能です。
ですので、職場でどんな風に言われていようが、あなたの耳に届きません。
気分の悪い人たちのことは完全に無視して、きれいサッパリ、気持ちよく次の職場に行ける…それが退職代行の一番のメリットです。
まとめ:退職代行で失敗しないコツ
それでは最後に、退職代行で失敗しないコツをまとめていきます。
もっとも大切なのは、信頼できる退職代行サービスを選ぶことです。
ここまでの内容で、退職代行で予想される失敗のほとんどは、実際には心配ないことを解説してきました。
ですがこれも、信頼できる退職代行に頼んでこそ。
もしも依頼した退職代行業者が、質の低いところだったら、なにもかも台無しです。
会社を不必要に怒らせてしまったり、こじれて裁判になったり…そんな危険性もあり得るでしょう。
退職代行は最近とくに増えています。ほとんどの退職代行サービスは、まっとうに営業している、信頼できる業者です。
ですが一部には、質の低い退職代行があるのも事実です。
だからこそ、信頼できる退職代行をしっかり選ぶことが、失敗しないために、何よりも重要なポイントです。
あなたの退職代行選びにお役に立てるよう、当サイトでも、さまざまな退職代行サービスのレビューを行っています。
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