この記事では、退職代行サービスの違法性について解説しています。
退職代行サービスに良い印象のない方は、
- 退職代行って違法なサービスなんじゃないの?
- 違法なサービスを使ってトラブルになったりしない?
このような不安や疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
実際に退職代行サービスは、違法と言われることも少なくありません。
RT)そも退職代行は、弁護士法的な兼ね合いで違法色が強いと労働弁護士界隈で話題になったよね。
— 遊ぶハッチー (@jdAaUM7t9der8VY) April 20, 2020
たしかに、中には違法性のある退職代行サービスも存在します。
しかし、結論としては、すべての退職代行サービスが違法というわけではないんです。
そのため、違法性のないサービスを使えば、安全に退職代行を利用できますよ。
この記事で解説していること
- 退職代行サービスが違法といわれる理由とは?
- 退職代行サービスで違法業者を使うとどうなる?
- 違法業者を避けて安全に退職するにはどうすれば?
それでは、「そもそもなぜ退職代行サービスが違法と言われていたのか?」から解説していきます!
退職代行サービスが違法といわれる2つの理由
- 非弁行為に当たる可能性がある
- 違法業者がいる
退職代行サービスは、上記2つの理由から違法性があると言われています。
それでは、さっそくみていきましょう!
非弁行為に当たる可能性がある
退職代行サービスが違法といわれる理由のひとつに、非弁行為にあたる可能性が挙げられます。
非弁行為とは、一言でいうと「法律の専門家である弁護士以外がやってはいけないこと」です。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
引用元:弁護士法
退職代行サービスは、この「非弁行為に当たるのではないか?」というのが退職代行が違法ではないかといわれる理由になります。
とはいえ、すべての退職代行サービスが非弁行為に当たるわけではありません。
非弁行為に当たるケースと当たらないケース
現在ある数多くの退職代行サービスには、非弁行為に当たるケースと当たらないケースがあります。
非弁行為に当たらないケース
非弁行為に当たるケース
- 有給休暇の消化交渉
- 未払い賃金や残業代の交渉
- 各種ハラスメントに対する慰謝料請求
- 損害賠償の請求
- 公的書類(退職届など)の作成
つまり、厳密には退職する意思を労働者の代わりに伝えること以外は非弁行為に当たるというわけです。
法律の専門家である弁護士の先生も、退職代行サービスの違法性についてつぎのように回答しています。
退職者に代わって手続きをするのは非弁にあたるのか?については、退職届を持参などして届けるだけならOKです。それから進んで、退職日の調整や退職金の金額の話し合いなど何らかの交渉を伴う場合は、非弁として違法であると思われます。
引用元:[労働]退職代行サービスはすべてが違法な業者ですか? - 弁護士ドットコム
単に退職の意思を代わりに伝えて欲しいという場合は、退職代行業者に依頼すれば問題ありません。
しかし、会社と何らかの交渉まで依頼したい場合は、退職代行サービスを提供する弁護士に依頼した方が無難でしょう。
違法サービス業者がいる
前述したように、退職代行業者は労働者の代わりに退職の意思を伝えることしかできません。
とはいえ、「退職する意思を労働者の代わりに伝えること」だけでは、利用者を満足させられないケースも出てきます。
そこで、会社と直接交渉を行うといった非弁行為をしてしまう違法業者が出てきてしまったというわけです。
このような違法業者が出てくることで、退職代行サービスは違法なんじゃないか?というイメージが定着したといっても過言ではないでしょう。
それでは、もしもこのような違法業者を使ってしまうと、利用者にはどのような被害があるのでしょうか?
退職代行サービスで違法業者を使うとどうなる?
退職代行サービスで違法業者を使うと、つぎのようなデメリットがあります。
- 退職に失敗する可能性がある
- トラブルに巻き込まれるリスクがある
安全に退職代行サービスを利用するためにも、危険性についても理解しておきましょう!
退職に失敗する可能性がある
非弁行為をしているような退職代行業者を利用すると、退職に失敗するリスクがあります。
そもそも、コンプライアンスを犯すような業者は、いいかげんな業者がほとんどです。
このようないいかげんな業者を使うと、つぎのように退職に失敗してしまうこともあります。
- いつまでも退職手続きが進まない
- 離職票がなかなか届かない
また、つぎのようなトラブルに巻き込まれることも少なくありません。
刑事事件に巻き込まれるリスクがある
違法な退職代行業者を利用したからといって、利用者が捕まることはありません。
しかしながら、仮に退職代行業者が逮捕されたときに、利用者も警察に事情聴取を受ける可能性はあります。
退職代行は新しいサービスということもあり、まだ逮捕された業者は出ていませんが、今後違法業者が逮捕される可能性は十分にあるでしょう。
そのため、違法業者を避けて安全な方法で退職代行サービスを利用するのが無難です。
違法業者を避けて安全に退職代行サービスを使う3つの方法
それでは、違法業者を使わず安全に退職代行サービスを利用するにはどうすればいいのでしょうか?
ご利用される方の状況にもよりますが、つぎの3つの方法があります。
- 顧問弁護士がいる業者に依頼する
- 退職代行を扱う弁護士に依頼する
- 労働組合が運営している業者に依頼する
顧問弁護士がいる業者に依頼する
顧問弁護士がいる業者に依頼すれば、違法業者である可能性は低くなります。
たとえば、退職代行業者についている顧問弁護士が会社と交渉までしてくれるのであれば、安全に利用できるでしょう。
しかし、注意すべきなのは、顧問弁護士がついているだけで実際に会社と交渉するのは退職代行というケースです。
このような弁護士という名前だけを利用し、実態は弁護士がサービスに関与しないことは、法律で禁止されています。
(非弁護士との提携の禁止)
第二十七条 弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
引用元:弁護士法
そのため、顧問弁護士が会社と交渉してくれるのか?確認する必要はありますね。
退職代行を扱う弁護士に依頼する
会社との交渉を考えたら、退職代行を扱う弁護士に依頼するのがベストでしょう。
弁護士であれば、会社との交渉も可能ですし、未払い給与や残業代の請求もできます。
単純に退職の意思を伝えて欲しいだけでなく、会社と交渉をしてほしいときは弁護士に依頼するのが無難ですね。
労働組合が運営している業者に依頼する
一般の企業が運営する退職代行業者は、退職の意思を伝えることしかできません。
しかし、労働組合が運営している業者ならば、会社との交渉までやってくれます。
なぜなら、労働組合は労働者の代わりに会社と交渉するのが法的に認められた団体だからです。
そのため、会社との交渉を考えたら、労働組合が運営する退職代行業者に依頼するのもひとつの手ですね。
退職代行サービスは正しい方法でやれば安全に利用できる!
退職代行サービスは、一部の違法業者を除けば健全に営業しています。
しかしながら、法律で禁止されている非弁行為まで行う業者もいますので、ご注意くださいね。
とはいえ、今回ご紹介したポイントを抑えれば、安全に退職代行サービスを利用できますよ!